舞台は百年ほど昔、エリンディル大陸に突如現れた魔族との戦争時代。
PCたちはそれぞれ英雄候補生または英雄そのものとなり、
より大きな力を得ることによって最終的に魔族を倒し、
エリンディル大陸をとりあえずの危機から救うことが義務付けられている。
ギルド【暁天の使徒】
ヴァルター・クロイツ(PL:権兵衛)
ガルド公国の新米騎士。白兵の主戦力。伝令役として“生かされた”後ろめたさから死に急ぐ言動を取るようになる。
多くの戦いを通じて経験した出会いと別れによって成長し、誰かを守るための剣として、名実ともにギルドの中核となる。
イライザリア・D・メイフィールド(PL:久保田みのる)
愛称はイライザ。滅亡したエルクレスト王国の姫君。優秀な水魔法の使い手で、敵の力を殺ぐことで仲間の補助を担う。
当初は元王女としての立場から甘えが目立ったが、次第に自立し、人々の心を守るための学園の創設を目指すようになる。
ヘキサ・アダマス(PL:ボーン)
封印されていた古代兵士。飛行能力と多岐にわたる補助・支援能力、そして高い防衛能力を有した人工生命体。
ヴァルターを勇者と定め同行し、人類を救うために力を奮う。しかし度重なる能力の酷使により、機能は停止寸前である。
チエスタ・W・アブトマット(PL:霧野)
未知の兵器・銃を扱うアウリラ(ウサギの獣人族)の少女。関西弁を操るパーティのムードメイカー。
遠距離からの狙撃で常に戦いの主導権を握り、仲間の窮地を幾度も救った。父の遺した銃を世界に知らしめることが目的。
ペトルーシュカ・アルベール(PL:よっし)
通称ペトラ。孤児だったところをアレックスに拾われ、以後、パリス解放戦線にて工作員として成長する。
敵の妨害および味方の支援に通じ、あらゆる局面で変わらぬ力を発揮した。戦争後は、アルディオン大陸に移住する予定。
第一話 逃亡
二十年に渡る均衡が崩れ、“盾の国”ガルド公国が魔族の軍勢の前に敗北を喫した。
宗主国“賢者の国”エルクレスト王国もまた、魔将バラムたった一人の前に、
その力を発揮する間もなく全滅し、神より授けられた“神剣アポロン”も奪われる。
亡国の姫となったエルクレスト王女・イライザは、城の隠し通路よりの脱出を敢行。
居合わせたガルド公国騎士団の生き残り・ヴァルターを中心に、
神の啓示により彼を勇者と認め護る古代の人工兵士ヘキサ、
銃と言う未知の兵器を扱う獣人族(アウリラ)の少女チエスタらと城外へ落ち延びる。
焼け崩れる城を背に、二度も国を滅ぼさせた己の無力さにヴァルターは歯噛みするのであった。
NPC
“黒公子”シオン・フィル・ガルド
“盾の国”ガルド公子であり、ガルド騎士団長。防衛戦に無類の強さを発揮したが、内通により全滅の憂き目にあう。
配属されたばかりの新人であるヴァルターにエルクレストへの伝令役として任を与えたのち、敵軍に突撃。現在消息不明。
“賢王”オルティヌス・レムリア・エルクレスト
“賢王”の異名をとるエルクレスト国王。イライザの父でもある。魔将バラムの襲撃に際し、最前線で陣頭指揮を執る。
死を覚悟しての出撃であり、最期はその遺志を娘に託し散ることとなる。彼の所持した神剣アポロンはバラムの手に渡る。
第二話 流浪
エリンディル中原に位置する城砦都市国家・アセリア。
ここに逃げ込んだ一行であったが、当然、安息の日は長くは続かなかった。
魔族の幹部・虚騎士(ホロウナイト)率いる大軍が突如街を包囲し、逃げ遅れた一行は絶望的な脱出戦を強いられる。
“パリス解放戦線”なるゲリラ組織より派遣された工作員ペトラ、そして、
忠実なるイライザの従者ミリィを加え、魔族十万の包囲を突き破ることに。
辛くも脱出に成功した一行はその足で“パリス解放戦線”アジトに向かう。
しかし、思想の違いからエルクレスト再興を願うミリィと訣別することに。
イライザは自分を庇護してくれてきた存在との別れに心細さを感じながらも、前へと進む一歩を踏み出すのであった。
NPC
ミリィ・フローライト(本名ミレニアム・シアー・エルクレスト)
イライザの従者にして異母姉。ある事件をきっかけに城仕えとなり、異母妹であるイライザを溺愛し、忠実に尽くす。
先祖返りしたエルダであり、魔力を有しないもののその強力に過ぎる戦闘能力は魔族の幹部と互角に渡り合えるほど。
王家再興の考えを捨てたイライザと思想面で対立。独自の道を歩むことを決意し、現在エルクレスト女王を自称している。
虚騎士
卓越した指揮能力で城砦都市国家・アセリアをまたたくうちに占拠した魔族の幹部。
その正体は、ガルド公子シオンの邪悪化した姿。魔族の手下となった彼は、その手腕で人類滅亡を担う使者となった。
メルティナ・マナシーカー
エルーランの宮廷錬金術師。パリス解放戦線首魁・ゴッドワルドの招聘に応じ、中原へとやってくる。
ヘキサの同胞に当たる古代兵士・オクタ(機動性に優れた白兵戦闘型)を供に連れている。
あらゆる分野において高レベルな知識・技術を以て裏方でサポートする。とある一件からチエスタの将来性を買っている。
アル
アセリアの孤児院の少年。魔族の襲撃で孤児院の家族を突然に失ってしまい、その結果、魔族への復讐を密かに決意する。
以来、助けてくれたヴァルターらと行動を共にして、(時に無理やり)手伝いをしながら腕を磨いている。
目端が利き、物事の本質を突く観察力に優れる。剣術の才能は中々のものだが、まだまだ危なっかしい未熟者でしかない。
第三話 同盟
“パリス解放戦線”に客分として迎えられた一行は、ライン王国への同盟の使者・アレックス将軍護衛の任を負う。
一方、置いて行かれたことを不満に思い、後を追っていたイライザが何者かに襲われるなど不穏な空気が漂う中、
ヴァルターたち一行はライン領内に到着し、見捨てられた村を防衛するために魔族の軍勢と戦い、これを撃破する。
その戦闘の中、イライザを救出していたライン国王ヴェルフィンと出会い、王国内での会談が実現可能となる。
ヴェルフィンは一行の力を試す“余興”として一行を“ライン王国地下”に落とし、自力で這い上がるよう命じる。
独自のコミュニティが築かれているそこで、様々な出会いを経験しつつ、一行は無事に地上への帰還を果たす。
ヴェルフィンの信頼を勝ち取った一行は、ライン王国と解放戦線の同盟を見届け、そのまま両軍の橋渡し役となる。
一方、行方不明だった父と再会したものの、すれ違いが続くチエスタは、自らが戦う意味について苦悩するのであった。
NPC
“パリス解放戦線幹部”アレックス将軍
元モラーナ王国将軍。十年前の魔族大侵攻に際して、ガルド公国およびエルクレスト王国と連携し、それを防いだ名将。
その代償として主戦場となったモラーナ王国は瘴気に汚染され、人が住めぬ場所となり、王族始め多くの人命が失われた。
以来、戦場に身を置き己の死に場所を探すようになる。ペトラの親代わりであり、ヴァルターに騎士の心構えを伝授した。
“覇王”ヴェルフィン
ライン国王。賤しい出自でありながら、己の才覚を武器に一国の王に成り上がり、ついには中原に覇を唱えるにまで至る。
その圧倒的なカリスマと“先の先を見通す”と言われる深い洞察力から、戦闘および政治に優れた手腕を発揮する傑物。
過激にして冷酷だが人心掌握のために繊細な一面を見せることも。真の意味で魔族との戦後を見据えている数少ない人物。
シーナ
一行が地下世界で出会ったアルビノの少女。迫害され、捻くれた性格に育つ。医学・薬学に優れた才能を発揮する。
当初は友好的であったが誤解して対立。衝突後和解し、一行の旅路に同行する。……後世の史書にその名は確認できない。
第四話 決戦
アセリアに駐留していた魔族の軍勢が、ついに中原全体に侵攻を開始。ライン王国と解放戦線は共同でそれを迎え撃つ。
一行も、チエスタの父という尊い犠牲を払いながらも恐るべき“ネームドエネミー”を撃破し、着々と戦果を重ねる。
しかし、アセリアに封印されていたという超巨大古代兵器・ユノを操る虚騎士の前に、人類は劣勢に立たされる。
起死回生の切り札となる飛行船“Air”を求め機械都市・カナンへと渡った一行は、シーナと思いがけぬ再会を果たす。
シーナの言葉から解放戦線内部に潜む陰謀の気配を感じつつも、ヴィクトリアやブリッツらの協力を得て戦場に向かう。
しかし、虚騎士が用意したさらなる罠により、人類側は壊滅の危機に瀕していた… 果たして彼らは間に合うのだろうか?
稼働時間がもはや僅かしか残されていないヘキサに、かつての同胞であるユノを止めることはできるのだろうか?
ペトラが選ぶのは解放戦線の一員としての自分か、それとも… 様々な謎を残したまま舞台は一旦、エルーランへと移る。
NPC
“銃の始祖”ロイド・V・アブトマット
元エルーランの宮廷錬金術師。魔族侵攻に対する新兵器として銃を開発するも、国から思うような評価を得られなかった。
その事実をよしとせず唯一の家族であるチエスタを捨て、以降、最前線で自身の分身である銃を手に魔族を狩り続ける。
塊怨樹との戦いでは致命傷を負いつつも一人の兵士を救い抜き、娘チエスタの成長を喜びつつ愛用の銃を贈り世を去った。
“神算鬼謀”ゴッドワルド
パリス解放戦線の首魁。かつては別大陸で名を馳せた軍師であったと噂されているが、彼は静かに沈黙を守るのみである。
沈着にして冷静かつ大胆な性格で、様々な策略を駆使し、戦力で劣るパリス解放戦線をして、魔族と互角以上に戦わせた。
“カナン評議会議長”グレイ=ライスフィールド
機械都市・カナンの最高責任者。優れた政治・外交手腕を発揮し、ライン王国の圧力をかわす老獪さを備えた人物。
広い視野で中原全体を見据え、常にそのバランスを考えて行動する。時に義理・人情に脆い熱血漢としての側面も見せる。
“パリス解放戦線幹部”モルグ翁
パリス解放戦線の経理を担当しており、その温厚な人柄から彼を慕う者は多い。ペトラの親代わりの一人でもある。
ゴッドワルド、アレックス、モルグをして“パリス解放戦線三幹部”と呼び、解放戦線の支えとして敬意を払う者は多い。
ヴィクトリア・N・シャバリナ(PL:久保田みのる)、ブリッツ(PL:犬由)、アル・バレスト(PL:依螺六音)
隼GMによる『ARA伝説外伝−Air−』に参加したPC。魔族の陰謀を跳ね除け、見事カナンを危機から救った英雄。
彼らの活躍により守られた空飛ぶ機械“飛行船”が物語の鍵を握る。詳細についてはGM、PL諸氏への確認を推奨する。